これは、一九九六年四月七日、原発の近くにある防災センターで、平井憲夫さんと五〇数名の参加者とが話し合った記録です。大きなガラス窓のある和室に座って、 「東海地震の震源域のど真ん中にある四基の浜岡原発」 のことを心配する地域の人々と遠くは神戸・名古屋・神奈川・東京などから集まった人々とが話し合いました。浜岡原発五号機増設計画の話が出て、原発の建っている浜岡町佐倉地区で、増設に反対する動きが久しぶりに表面化していた頃でした。
私は二〇年間、原子力発電所を造ってまいりました。現 場の監督責任者として。もちろん、この浜岡原発も手掛け ております。浜岡と同じ沸騰水型というのが専門なんです が、この浜岡原発の一号機、二号機、いわゆるマークIと いうタイプ。ましてや一号機については、世界でもまれに 見るような大事故を二回も続けて起こしているんですよ。
一九八七年、再循環ポンプが、これは沸騰水型の原発で は心臓です。これが全部二台ずつあるんです。一台が止ま っても一台が動いているからと。ジェット機と一緒でエン ジン二台積んで、一つがトラブルを起こしても一つがある からと。絶対二台止まるようなことはないと。それが浜岡 原発ではいっぺんに二台止まってしまったんです。飛行機 だったら墜落なんですが、それでも黙って動かしたんです よ、中部電力は。
その翌年、また同じことをやってしまう。これはもう、 いわゆる世間には顔向けができないくらいの大事故です。 私どもが解析していくと、日本くらい大きな事故を度々起 こしているとこも、珍しいんですよね。
二、三日前ですか、やはり原子力発電所の寿命は三〇年、 四〇年といっていたと。そうではない、平均すると一七年 くらいになるんだと。というのはアメリカやヨーロッパで は事故が起きる、そうすると国民が黙っていないんです。 そんな危ないもの動かしちゃだめだ、というので閉鎖して しまうんです。閉鎖。いわゆる電気を起こさなくなって、 そのまんま放射能が出るのがゼロになるのを待って、それ から廃炉に向けていくと。
これがいわゆる日本では、ない。なぜ、ないのかいうと 、やはり国民一人ずつが、危機管理がゼロなんですよね。
お上のいう通り、大企業のいう通りに信用してしまって いると。取り返しがつかないことが起きてしまって、初め て慌ててしまうというようなことが非常に多いんですよね。
いわゆる地震。いうのは去年、阪神大地震がありました。 地震があった次の日、私はすぐ神戸へ行きました。あの高 速道路が引っ繰り返っている。新幹線があんなんになって いる。その現場を見てア然としたと同時に、「これは原発 と一緒だな」というのを一番最初に感じたんです。
なぜかというと、あの橋桁の中から、いわゆる型枠のベ ニヤ板が出てくる。ジュースの空き缶は出てくる。設計し た人はよもやそうゆうふうな物が中へ入っているとは思っ ていないんですよ。設計する人は。でも私は、「あっ、こ れが現実だな、原発とまったく同じだな」と。
というのは、どういうことかというと、今原子力発電所 で働いている人、工事をやっている人たちというのは九五 〜九八%は、全くの素人の人なんです。職人という人はも うほとんどいない。
これはただ、原子力の現場だけではありません。いろん
な所で後継者不足、職人不足といわれている。だから実際
、そういう人は自分が今何をやっているのか、何の工事を
やっているのか分かっていないんですよ。ただ言われてい
るからやっているんだと。
原子炉にくっついている配管がもたない
地震が起きた場合、いわゆる原子炉、これは一番みんな 問題にするんですね。耐震設計の見直しとか、何とかいっ ている。私が言うのは、それ以前。原子力発電所の中で人 間の体でいう血管ね。これと同じくらいある配管。これが 持たないんですよと言うんです。
私も、これは非常にみなさんに怒られたんですが、「地 震だったら、原発いうのはそんなやわなものではないよ」 というような話をしてたんです。辞めてからも。「地震に は絶対自信があるよ、原発というのは」。でも、阪神大地 震を見にいって、「こりゃだめだ。こりゃ持たないな」と 本当に実感したんですね。「こりゃ、原発というのは、と ってもじゃないが地震に耐えられない」と。原子炉そのも のは上下や横揺れするかもしれない。でもそれに全部配管 がくっついているんです。配管が。これがもう持たない。
日本の科学技術というのは、大したもんじゃないんです よ。でも、今の原発論争そのものが机上の空論、机の上だ けの話なんですよ。原発そのものを見たことがないのに、 「原発反対」っていっている学者にしても、「推進だ」と いっている学者にしても、じゃ原発の中を自分で手で触っ て、目で見て、自分が被曝をしながらやったことがあるの か、そういう経験はみんなないんですよ。
私も原発反対言っている学者の先生たちをたくさん知っ ているんですが、私、言うんです。「あんたたち、いい度 胸している」と。「見たことがないものを、どのようにし て安全だとか危険だといって話が出来るんだ」と。
私が危険だと言うのは、自分が工事をやって、「浜岡原 発の一号機、二号機の、いわゆる配管サポートはこういう ふうだ」と。自分がやっているから言えることであって。
やはり、この浜岡原発いうのは、大きな東海地震が今日 か、明日かといわれている。今、一番心配なのが浜岡原発 なんです。今すぐにでも運転を止めて閉鎖して、それから 何十年と置いて、それから廃炉解体しなくちゃ。このまん まじゃ、今に取り返しのつかないことが起きてしまうと思 う。さあ、みなさんどうするか、いうことですね。
それから聞くところによれば、最近は定検をいままで四 か月をね、二か月に短縮していると。そういうことも聞か されておりますがね。今のお話の中で、一号機を受ける時 点でね。そういうことは電力会社と国の説明で「九九%は 安全ですよ」と。岩盤の上に造ってですね。「マグニチュ ード八・五の地震がいっても大丈夫ですよ」ということを 聞かされておる。
それから私も佐対協の委任で、中へ入っていろいろ研修 をしました。それで、入るについては放射能ということで 何回も衣服を変えて、そして出る時には裸になって、放射 能は浴びていないかということを厳重にチェックされてい るとしたもんですから、ま、電力会社のやることは、これ 、大丈夫だなという、今までそういう気持ちでおったわけ ですがね。
実際、現場で携わった人の話、今ここで初めてそういう ことを聞かされて、実際、電力会社と国のやり方というも のはね、本当にごまかしというか、住民に対して本当に、 これは「だまされてた」という感情を深く持っているわけ ですがね。実際、今日先生の話を聞いて、実は驚いている わけです。
私は原子炉よりも自分の専門の配管が持たないと、これ なんですよね。配管がもたない。というのは、日本の自動 車が立派だ、立派だいう。ブレーキが立派だ、ブレーキペ ダルも立派だと。その間のオイルのパイプとか、エアーの パイプがとんだ場合は、いくらブレーキ、原子炉が立派で あっても、もう効かないわけなんですよね。
特にこの浜岡原発一・二号機というのは、古いんですよ ね。一号機はもう二〇年、二号機は一七年ですか。この当 時のマークIというのは、配管を支えるサポートというの が、いわゆるホールインアンカーといって、ネジでコンク リートに打ちつけているんです。そのために運転している とガタガタになっているんですよね。効かなくなっちゃっ ている。だから配管を支えるそのサポートの役目が何にも なされていないんです。
一号機、二号機は。あそこへ大きな地震が来て、あれだ けの重量の配管がユッサユッサ揺れた場合、これはもう持 たないです。ましてや配管が破断をしたら、もう何にも制 御は効かないんですよね。制御は効かない。
だから私が言うのは、中部電力さんに前にも言ったこと があるんです。素直になんなさいと。私が危険だといって いるんだから、じゃ一回入って、どことどこがどうなんだ と教えてくれと。で、直そうじゃないかと、そういうふう な姿勢が必要じゃないかと、動かすんなら。それが出来な いんなら動かしちゃあだめですよ言うんです。
というのは、私今年に入って、女川原発、これ仙台高等 裁判所で今、控訴審が始まっているんですが、これも現場 の検証 を私が特別補佐人としてやっているんです。志賀原 発も。その時に裁判所で私が「裁判長、ここがこうで危な いんですよ」いう。一つずつ裁判長に説明していっている と、素人の裁判長でも分かるんですよ。
だから私が言うのは、女川原発、東北電力にしても、直 しなさいというのね。それに反論するんじゃなしに。自分 も危険だ思ったら、恰好が悪いだろうがごめんなさい、直 しますからと。こういう姿勢がほしいと思うんですよね。
それともう一つは、一九九〇年にICRP、国際放射線 防護委員会から、今の日本が守っている年間五〇ミリシー ベルト、放射線の浴びる量ね。これは非常に危険だから二 〇ミリシーベルトに下げなさいという勧告が出ているわけ です。これは日本は守ってないんですよ。いまだにその勧 告を受け入れてない。今の半分以下の勧告を受け入れたら 、もう定検工事そのものがやれなくなるんですよ。
年間五〇ミリシーベルトで管理をしてても、放射線量の 高いところだったら、一日に三分から五分しか仕事が出来 ない。それが半分以下だと、もう一分か二分しか作業がで きない。一分や二分ということは、もう段取りで終わっち ゃう。だからもう日本の原発そのものが行き詰まってしま ってきているんですよ。
というのは、いままでの原子力行政そのものが、もう行 き当たりばったりで。何でも都合の悪いことを先送り、先 送りにしてきたんですよね。これは住専の問題にしても、 HIVの厚生省の対応を見ても、日本政府がやってること は本当に間違いだらけなんですよ。そのツケが何もかにも が、ここで一気に来ている思うんですよね。原子力行政に しても。
そうじゃなくて、巨大地震が来た時には、予想できない ところで配管が破断して、一番困る高レベルの放射能が漏 れる可能性もあるんですか、それとも、いったんは炉心の 中で食い止められるものなのか、その辺がね、よく分から ないんです。
私も設計屋でないんで、どの程度まで安全があるのか分 かりませんが、トラブルがあると安全装置、いわゆる安全 弁が作動して止まるように出来ているんですよ。どこか一 か所でも破断すると、もうそこで運転がさっと止まるとい うようには設計されているんですが、しかしながら、いわ ゆる日本型の事故というのが最近多いいうのは、その安全 弁ね、いわゆる車でいうとブレーキとかサイドブレーキ、 これが衝突する前に効いたのが日本では一件もないんです よ。なんにも効かない。
いいですか、日本の原発は優秀だと思い込んでいる人が 多いんですよ。私がね、電力会社などとやりあうと、必ず 電力会社なんかが言うのは「主要な配管は」というんです よ。私が言うのは「主要でない配管は、あの中には一本も ないんだ」、「全部重要なんだよ」と。
というのは、そういうバルブを動かす弁ね。それ一つに しても、継走配管っていって、わずか小指ほどのものがあ るんですよ。それが一本切れても、あの中のシステムは動 かないんですよ。だから私がいうのは、「全部主要な配管 なんだよ」ということです。
もうこれの一番いい証拠が、五年前の関西電力の美浜原 発事故ね。たった二ミリほどの細い配管、蒸気発生器の細管 が破断したわけです。これだけでどれだけの事故になりま したか。いわゆるチェルノブイリの一歩手前だったんです よ。まず最初に安全弁が作動して、いわゆる一時冷却水、 放射能をいっぱい含んだ水が行くのが止まるはずなんです 。止まらなかった。二発目のサイドブレーキの代わりの安 全弁も効かなかった。全部の放射能を含んだお湯を止めよ うとした主蒸気隔離弁いうのがある。これも止まらなかっ た。たった二ミリの配管が破断しただけで制御が効かないん ですよ。制御が効かない。ただくっついているだけであっ て、いままで日本で事故が起きて、そういうものが止まっ た試しがない。だから、どの配管が切れても一緒です。
それから国や県が見直しということで、外国の技術者が 来たり、日本の技術者が来て、そこらじゅうの原発を見直 して歩いて回った訳ね。それでテレビでもいったように、 浜岡原発も地震なり、そういったものに対して絶対心配は ないということを発表しているでね。それで、どこまで我 々は実際にね、信用していいのか。
すると、「ケミカルアンカーに取り替えた」っていうか もわかんない。「じゃ、何本取り替えたんだ」と。
こりゃ、とてもじゃないが全部取り替えられるような数 字じゃない。昔からあるでしょう、コンクリートに釘を打 っても効かなくなるというのが。
「仮に、時期的に夜にでも地震がいけば、原発は心配にな るけど、原発が潰れて放射能が漏れる時点になれば、我々 の一般の民家はぺっしゃんこになって生きている人はない だろうと」というような、我々もそういう気持ちがします けれどもね。まー、それは冗談話なんですがね。そうなっ たら大変ですわね。
配管の破断によるとね、十分そういうことは想定が出来 るわけですわね。本当に先生のお話を聞いてね、もう一号 機、二号機は即刻止めてもらいたいというような……。
その何ていうか排気塔、俗に煙突といっている。それに ね、電力会社なりの説明は、「絶対に放射能(放射性物質)は濾過機があ って、漏れないよ」ということを聞かされておるわけです がね。
そういった関係で、五〇mのところにおる衆はね。もう 一キロじゃなくて、百キロくらいでも放射能を浴びるという感 じになるんでしょうかね。そこら辺がね、我々も専門的な 事は判らんもんですから。
「漏れないよ」「そうですか」ということで、今までは 聞いておったわけですがね。実際問題専門家として、そん なことはどんなふうでしょうか。この際ちょっと。ぜひ、 聞きたいと思いまして。
四階に行かれたことあります? リアクタービンのある 原子炉建屋の四階に?
そういうことです。故意に出しているということです。
だから私が言うのは、今の大人はいいよと。だけどいわ ゆる一番最初にやられるのが小さい子供の甲状腺なんです 。だから今の小さい子供をとにかく監視しとかなきゃ。ゼ ロじゃないんですよ。出しているんだから。
微量というような言葉を使いますが、微量でも自然界に あっちゃないもんだから。これをゼロにするいうことは出 来ないんですよね。これがなぜ、日本はそういう言葉で一 生懸命逃げようとするんか。
アメリカのショーラム原発っていうのは、一〇〇キロ離 れたところの住民のね、この人たちの健康を害すと、原発 というのは。だから運転しちゃならないと。試運転までし てたのに閉鎖しちゃったんですよ。
私が中心でやっている原発被曝労働者救済センターに、 もう二、三年前から、全国各地のいわゆる周辺住民の人た ちの健康調査もいっしょにやってくれないかいう声が上が っているんですが、よその国では、周辺に住んでいる人た ちの健康影響調査いうのを国でずーっとやっているんです よ。日本はそれを一生懸命隠そうとしているよね、今も。
そうじゃない。やはり影響があるならあるんで調査をや らないと、大変な問題が起きてしまうんですよね。その時 じゃ遅いんですよ。
「いろいろと被害はありませんよ」ということだけど、 そういうものを一般の衆はどこで信用するかっていうこと を、ちょっと疑問に思って。
この間も、ある人と話していたんですが、ああいうもの が交通信号みたいに、「これは放射能がありゃ、きちっと 橙色になる」とか、「青なら大丈夫です」とか、そういう ことならばね、一目見ても分かるけど、「ぜんぜん大丈夫 です」と。信用するしかないんで。
いうのはどういうことかというと、今いうようにモニタ リングポスト、それからモニタリング・ステーションとい うのが原発から半径八・圏内にあります。それから電力会 社の敷地内にも。
問題は、私も現場にいるときに研究したんです。「なぜ 、これが反応しねえのかなー」って。他の測定器ではボン ボン反応するんです。そこにちょうどメーカーが来ていた んです。「おい、この測定器ではこれで上がってんだが、 なぜこれでは上がらないんだ」「そんなところから上がっ てもらったら、とんでもない数字が出てしまうんですよ。 だから例えば、一なら一になるのは、通常の測定器よりも もっと高くならないと一にいかないんですよ。だからいつ まで経ってもゼロなんです」と。
そういうふうな測定器にしているんです。
悲しいけど日本の電力会社にはその気がないから、事故 が起きてやはり一時間、二時間、三時間、四時間も経って から知らされると。
これは、地元の人がやはり、事故が起きた時には直ぐ知 らせろーということをね、もう声を大にして言うことです よね。これ以外にないんですよ。
さっきのお話の中では、二ついっぺんに止まったという ことなんですがね。その説明の中では「一つ止まったで、 もう一つ予備があるで、別に異常はなかった」と、「それ をまた修理する」って、そういう話の中で「トラブルがあ る」っていうことばかり電力会社は言っているもんで、我 々地元の衆も、それなりに、「そうか、そうか」っていう ような気持ちで、今日に来ているわけですがね。
この間もボヤの問題がね、新聞に出た訳だけれど。あれ も幾日も経ってですか、黙ってごまかしていようと思った のが、自然とばれて……。
この前、中電さんが来たときに、聞いたんですが、「事 故は絶対にない」と。「でも、そうなった場合、どうすれ ばいいかということをやっぱり町民に徹底しておいて貰わ ないと、みんな不安でしょうがないし。四号機までは、み んな心の中ではいやだと思っていたけど、口に出していう 勇気が無くて言えなかったんだ」と中電さんに言ったら、 「防災については、県が責任を持っているから、県の方に 言ってください」と言うことだったんです。
私が一番知りたいことは、どの時点で「避難しなさい」 ということを町なり県なりが言うのかどうか。
阪神の地震の時には放射能がないから、みんなが手伝い に来てくれたと思うんですけど、おそらく原発が壊れたら、 手伝ったり助けてくれる人は望めないと思うんですよね。 そうした場合に、さっき「みんな家も潰れちゃうから、死 んじゃう」と言ったけども、そんなことは考えられないと 思うんです。もっと真剣にね、そういう場合、どういうふ うに対応したらいいかということを、やはり県が責任を持 っているのなら、そちらの方に聞かなきゃいけないなーと 思っているんですが、どの時点で被害があるよということ を教えてくれるのか、ちょっと教えていただきたいなーと。
今いうように、「県に聞いてくれ」「国に聞いてくれ」 と、防災は。というのは国にしても、それじゃ浜岡町の桜 が池のあの辺の人の家がどこにあるのか知りませんよ。そ んなもん。ただ机の上で書いているだけでしょ。それをま た県がそっくりそのまんま採用しているんです。それで、 各市町村がまったくそれと同じものをやっているんです。 だから何にも役に立たない。机の上だけの防災計画ってい うのを作っているんです。これは根本が間違いなんです。 根本が。
今言うように、どの時点で避難すればいいかというと、 もうこの辺から間違いというのは、日本の場合は、原発事 故重点地域というのがあるんです。重点地域。これは原発 から半径八キロ圏内で、九キロの人の所へは影響がないといっ ている。分かる?
いわゆる日本で本当に原発の事故が起きた場合に、だれ が対応できるのか。今、核戦争を想定した訓練を受けてい る自衛隊員が六〇人だけなんですよ。それ以外に原発事故 に対しての対応が出来る人はいません。
やはり一番問題なのは、そうはいっても消防は知らんふ りできるかいうのね。できないと思うのね。
私も石川県の羽咋市というとこ、ここで市長さんに呼ば れて、消防署の人に防災の話をしてくれということでお話 をしました。全国の消防署の人いうのは東海村へ訓練に行 っているんです。訓練した人に話聞いたけど、「何が何だ か分からなかった」って。一週間では。「自分たちはどう したらいいかなー」っていうから、「あんたたちも子ども や奥さんがいるなら、事故が起きたら最初に逃げなさい」 と言うの。知識がないんだから。消防署の人はね、まだそ れなりに知識があるんです。
私が一番怖いのはね。消防団。この人たちは原子力の知 識も何にもないんよ。でも、何か大きな事故、災害が起き ると一番に行くでしょ。何にも知識がないまんま。これが 非常に怖いんですよね。
だから国が悪い、県が悪いじゃないの、自分たちで新し く防災計画というのを作るわけ。それを国なり、県なりに 採用させるんです。お前が悪い、県が悪いいうんじゃなし に、分からないんだから、あの人たちは。だから一緒に勉 強しようよとやっていけば、この防災計画もきちんとした ものが一つずつ出来上がるんですよね。放射能が行くのは 八キロまでで、八・一キロの所は影響がないというようなこと をいわせてたんじゃ、だめ。
でも悲しいかな、これ、まったく素人ばっかしでね。ろ くなもん出来やしないと思うけど。
だから、日本の原発がさっき私がお話したように、チェ ルノブイリくらいの事故がもうすぐ近く起きますよいうの は、そのために、今事故が起きたら放射能がどっち向いて いるか、すぐ調べなきゃだめなんですよね。そのためのヘ リコプター、これは三年前からスピディーいう機械積んだ のを置いているんです。すぐ飛び立つように。
でも、私がいうのは、わざわざ中央からきて判断してや るから、ちょっと待っとれ。お上が判断してやると、それ から逃げるか、逃げないか決めると。こんな馬鹿な話があ るかいうんですよ。だから国民が声を出さなきゃダメ。黙 ってちゃダメなの。
「なぜ、明かさないか」と言ったら、「県から指示がこ ないから明かさない」と。「いったん、何かあった時に困 るじゃないか」と言ったら、「いや、県の係官が現場へと んできて指導する」と。総務課の係長がいうのだから間違 いないです。
たまたま昨日、NHKテレビで、朝の七時のニュースで 言いましたけど、それの飲み方の説明書を外国人にも分か るように各町村へ配付しますと。でも、相良町の役場では そういう発表すらない。一般の方は役場にあることも知ら ない。
日本は置いてあるんだけど隠すんですね。それを渡すと パニックが起きるからって。パニックが起きるわけはない んですよ。これは原発が稼働している自治体なんかはみん なヨウ素剤を置いとります。でも、今いうように、一生懸 命隠して置いとるのね。事故が起きた時に、だれがそこま で取りに行くんだという。だからそういうところも見直し をやらなきゃダメなんですよね。
日本の場合は、中央省庁というのは縄張り意識がひどい でしょう。原発の防災について、国土庁がある程度握って いるんですよ。だから科学技術庁はオレは知らねーよと言 ってみたり。
一九九八年六月四日に行われた浜岡原発五号機の第二 次公開ヒアリングで、住民の「東海地震で原発震災が起 きないか」の質問に、通産省は「原発震災が発生するこ とはない」と説明しましたが、武谷三男さんのいわれる ようにその科学的な根拠はないのです。通産省が許可し た五号機は、一九九九年三月から工事が始まっています。 二〇〇〇年二月二二日、中部電力は三重県知事の芦浜原 発白紙撤回を受け入れましたが、早々に「浜岡原発増設 も選択肢の一つ」と表明しました。 (編集者)
原子力発電がなくても暮らせる社会をつくる国民会議
http://members.at.infoseek.co.jp/genpatsu_shinsai/